寺本動物病院Staff Blog

皮膚病の季節

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連日うだるような暑さが続いていますが、皆様お変わりありませんか?
今日は午後から会議で外に出たのですが、あまりの日差しの強さに車が本当に気の毒でした。
灼熱のエンジンルームを思い、大丈夫と分かっていてもなんとなく水温計が気になって何度も
見ていました。ラジエーターってすごいですね。

最近は過ごしやすい季節がなくなって四季ではなく二季なんて言われるようですが、やはりこの時期は
特殊でして、特に犬を中心に皮膚トラブルが増えます。
中でも皮膚炎は多く、細菌感染を伴う「膿皮症」や外耳炎が起こります。
痒みを伴うために犬は患部を舐めたり掻いたりし、それが皮膚を物理的に障害します。
そうしてさらなる痒みが誘発され、症状が悪化します。
犬アトピー性皮膚炎などでもみられるこうした悪循環は、ある程度以上になるともはや治療なし
での解決は困難となります。

原因により治療法は様々で一概には言えませんが、患部を清潔に保つのはどんな時も基本になります。
普段、ワンちゃんのシャンプーをする頻度は人により様々と思いますが、特に毎年皮膚トラブルを
繰り返しがちなワンちゃんは夏を中心に少しペースアップをしても良いですね。
ご自宅で行う方は、ぜひ擦らない様に優しく2度洗い、シャンプー後はコンディショナーを使用する
、耳への水の侵入に気を付ける(ちぎった綿花を耳栓がわりに入れておくのも良いと思います)などの点に
注意しつつ行なってみてください。

写真は長野県のビーナスラインでの一コマで、こんな時でも日中の気温は20度程度で、とても過ごしやすかったです。

獣医師 寺本
  1. 2023/08/22(火) 00:25:05|
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マダニが媒介するSFTSについて

スクリーンショット マダニ
                      (ヒトのSFTS症例数に関する統計)国立感染症研究所HPより転用



 マダニに吸血された際に病原体をもらってしまうダニ媒介感染症に関するニュースを最近よく耳にします。その中でも重症熱性血小板減少症(SFTS)はペットにも関連するため、5月に開催された岐阜県獣医師会学術研修会の講演テーマになっていましたので内容を少しご紹介します。

 SFTSは2011年に中国で発見された比較的新しいウイルス感染症ですが、温暖化によるマダニの生息地域の拡大に伴い国内の感染者数、発生地域ともに増え続けており、九州・沖縄地方から中部地方の広い範囲で感染者が出ています。これまでに岐阜県内でのヒトのSFTS発症報告はありませんが、モニタリング調査ではSFTSウイルスを体内にもったマダニの存在が県内で確認されており、発症報告が出るのも時間の問題といわれています。

 さて、犬も猫もマダニの媒介によりSFTSを発症する可能性がありますが、特に猫は重症化しやすく発症例の約半数が死亡するようです。よくみられる症状は発熱や嘔吐、下痢などの消化器症状であり、症状のみでは他の疾患との鑑別が難しいため血液検査等が必要になります。そして、発症動物の血液及び排泄物内にはウイルスが含まれているため、ヒトのSFTS患者の約2割は自らが飼育している猫がSFTSを発症し、その猫との接触が感染経路になっていたようです。特に高齢者は死亡率が高いためペットだけの問題では済まなくなる可能性を秘めています。

 マダニの体内にはSFTSウイルス以外のウイルスや細菌も存在し、吸血開始から48時間以上経過すると動物の体内にそれらの病原体が侵入するリスクが高まるといわれています。最善の予防策はマダニに接触しないことですが、それが難しい場合に当院では猫のマダニ予防としてスポット剤であるブラベクトプラスやレボリューションプラスの使用を推奨しています。これらを事前に投薬しておくことで、万が一マダニに寄生されても寄生後24時間以内にほぼ全てを駆除できるため、SFTSの感染リスクを低く抑えることができます。マダニの寄生を肉眼で発見してからの投薬では既に時間が経過しており、マダニの駆除はできても病原体の侵入防止策としては不十分であると思われます。

 私自身はマダニに遭遇するような場所に入っていくことは少ないですが、SFTSのことを学び、マダニの動きが活発になる春から秋にかけては特に気をつけたいと思っています。また、ペットのマダニ予防を通じてご家族も安心して生活していただきたいと思います。



獣医師 舩木
  1. 2023/07/26(水) 11:23:28|
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皮膚組織球腫

スクリーンショット

先月のことになりますが、私が飼う11歳のトイプードルの耳の内側に腫瘍ができたため、組織生検を行いました。これは鎮静をかけて腫瘍の一部を切除し病理検査を行うことを意味します。

腫瘍は長径が2cmほどあり、耳の中心部にできていたため腫瘍のみを切除することは難しく、がんの可能性が高いという診断結果が出れば、耳介を全て切除する必要性も考えていました。

幸いにも診断結果は皮膚組織球腫という免疫機能に関連する細胞の良性腫瘍でしたので、手術は行わずに内服薬で腫瘍を縮小させることができ、家族もホッとしていました。

今回の件は、自分の犬もがんを疑ってもおかしくない年齢になっていることを悟るきっかけとなり、改めて犬の加齢の早さを感じました。

獣医師 舩木
  1. 2022/11/11(金) 19:01:45|
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キャットリボン運動推進中

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猫は、時折り見せるその特有の仕草の可愛らしさや優雅な身のこなしなどからペットとして今や犬をも
上回る人気ですね。私が以前飼っていた猫(雑種短毛の日本猫)は、今でも思い出すと心が和むような
エピソードをいくつも残してくれました。

机に向かっていると毎度本の上に割り込んできて邪魔をしたり、留守の自宅にわざと電話
をかけて留守番電話を応対させた際に、留守番電話に向かって猫の名前を呼びかけると口で
受話器を外し電話口でニャアニャア鳴いていたりなんてこともよくやってました。

そんな猫に起こる病気について。
その死因の1/3はがん、中でももっとも発生率が高いのが乳がんです。
乳がんの発見には自宅でのチェックが非常に有効です。
猫の乳腺にしこりが見つかった場合、その80%は悪性ですので早期発見早期治療が重要です。

乳がんで苦しむ猫を少しでも減らすために、
*乳がんに対する正しい知識の発信
*正しい治療法の普及
*さらなる学術データの蓄積と活用
これらを推進する取り組みとして、「キャットリボン運動」が行われています。
https://catribbon.jp
当院もこの運動に賛同し、猫を飼っているご家族の皆様に正しい知識をお伝えするとともに、正しい治療
の実践に取り組んでいます。
院内では、この運動に賛同し支援して下さる個人の方へ、お礼としてキャットリボン オリジナルピンバッチを
プレゼントしています。ピンバッチは、乳がんのセルフチェック時に参考になる長さ2cm で作ってあります。
院内掲示でもご案内していますので、ご興味を持たれた方はぜひスタッフまでお声がけください。

獣医師 寺本
  1. 2022/03/31(木) 16:12:18|
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アレルゲン間の交差反応

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イラスト:厚生労働省HPより

厚生労働省の発表している資料では、日本におけるアレルギー疾患は第二次世界大戦以降増加傾向にあり、多くの日本人が様々な症状に悩まされています。
2005年と2015年のデータを比較すると、小中学生においては喘息とアトピー性皮膚炎の患者割合に大きな差がないものの、アレルギー性鼻結膜炎は中学生でやや増加傾向が認められ、いずれかのアレルギー疾患を持つ子供の割合はおよそ三人に一人です。
一方、わんちゃんでも近年アレルギー疾患の発生率は増加傾向にあります。多くの飼い主さんが気になる食べ物に対するアレルギーですが、実際のところアレルギーを起こすアレルゲン物質は例えば鶏肉アレルギーであったとしても単一ではありません。それと似た構造を持つ他のアレルゲンもまた反応を引き起こします。これをアレルゲンの交差反応と言います。

* ナス科(トマト)は日本スギ
* アブラナ科(セロリ、ニンジン)はヨモギ
* ナス科(トマト、ジャガイモ)・ウリ科(メロン、スイカ)・マメ科(ピーナッツ)ミカン科(オレンジ)などはイネ科植物
* ウリ科(メロン、スイカ、ズッキーニ、きゅうり)はブタクサ

などなど、意外なものが花粉と交差反応を示すとされています。
スギ花粉にアレルギーを持つ犬にトマトを与えたところ、30分以内に口唇の腫れ、皮膚の紅潮などが引き起こされたことが報告されています。
また、分類学上離れている鶏肉と魚の交差反応の可能性も指摘されています。
アレルギー疾患をお持ちのペットを飼われている方はこういったこともあるんだということをぜひご記憶ください。

ただ、「うちの子はアレルギーっぽいからアレルギー用フードを使っています」という単純なものではありませんので
自分のペットに無意味な食事制限を強いることがないよう、きちんとした診断に基づく正しい対応を心がけたいものです。

獣医師 寺本
  1. 2021/11/26(金) 00:39:59|
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